タイトル等
川村悦子展
「仙境」
会場
ギャラリーなかむら
会期
2020-11-10~2020-11-29
休催日
月曜休廊
開催時間
11:00am~7:00pm
概要
「仙境」
初夏の日差しがまだ柔らかい頃、太田神社の杜若(かきつばた)を見に出かけた。いまの絵に足りない何かを見つけたいという想いで訪ねたが、コロナ禍はここにも現れて立ち入り禁止の立札と柵が置かれ群生する池に容易に近づけない。昨年よりも池がひと回り程小さく淋しく感じた。例年と違い観賞する人々がいないせいだろうか。あるいは私が描いているそれらの姿がまるでジャングルのように騒々しいせいだろうか。画面いっぱいに描き込んだ自分の絵を思い返すと、この杜若の静かな佇まいが心に残った。
それは絵に仕立てるための無理やりな構図や考えに、やんわりと釘を刺されたようでもある。草木には草木の佇まいというものがあるように、杜若にもあるのだろう。そう気づかされて一つの想いが生まれた。「仙境」である。そこは文字通り俗世を離れて仙人が住むような清浄な光に溢れたところ。でも私が考える「仙境」とはそういう別天地ではない。現実の私たちが暮らす中で出会えるささやかな憩いの場であり、夢想する幸せな心のひとときだ。人が忙しく働き、厳しい暑さに辟易しながらも家に帰ってホッと安堵できるような、道の草木や花に目をやって深い息を継げるような、まっすぐに伸びる杜若の潔さに思わず背筋が伸びるようなごくありふれた景色だ。そこにいるだけで目の前が開け、私に生きるよろこびを呼びおこしてくれるものである。絵の中にそんな空間が生まれればと念じた。
この度ギャラリーなかむらさんにて個展を開催させていただくことになりました。古来かきつばたには「幸福を運ぶ」という花言葉があるようです。新型コロナの収束に向けて世の中はまだ予断を許さない状況ですが、この花の意に免じて、皆様のご高覧を賜りますようにお願い申し上げます。
2020年11月 川村悦子
会場住所
〒604-8005
京都府京都市中京区姉小路通河原町東入恵比須町424 2F
京都府京都市中京区姉小路通河原町東入恵比須町424 2F
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