2020年秋、府中市美術館の公開制作プログラムは開始から20年を迎えます。現代を生きる美術家たちが館内常設のスタジオで作品をつくり、来場者と交流することで、美術の多様な価値や、創作に邁進する美術家たちのすがたを紹介してきました。
記念の回には、日本を代表する彫刻家・三沢厚彦さんをお迎えします。木彫という伝統技術をベースに、時にユーモラスで、ゆるぎない存在感をもつ動物像を作り、近年は実に精力的に発表されています。
今回、ふだんは閉じられた場で行われる制作を開くこと(公開)の意味を、三沢さんは、さまざまなしかけによって問いかけます。三沢さんはスタジオをしつらえ、材料を用意して、ホストとなって豪華ゲストを迎え、ともに制作を行います。そこで生まれる対話や緊張や化学反応は、コロナ禍のただ中にいる創作者の、本音や無意識や希望を引き出すことでしょう。