タイトル等
鍋倉 武弘 展
金山明 田中敦子へのオマージュ 1
会場
ラッズギャラリー
会期
2020-09-20~2020-09-27
休催日
月曜日休廊
開催時間
12:00~19:00
最終日17:00迄
概要
金山明と田中敦子と鍋倉武弘
昨年に続き二回めとなる鍋倉武弘(1940年生まれ)の個展出品作は、金山明(1924~2006年)と田中敦子(1932~2005年)への長年にわたる深い敬愛の念から生まれている。鍋倉は、金山と田中が具体美術協会(具体)会員になった1955年から制作助手を務め、1965年には自身も具体会員になったが、同年夏頃には二人と共に退会し、その後も長く二人の制作活動を支援してきた。この度は、奈良県明日香村にあった金山と田中のアトリエを昨年整理した際に見つかった未使用のキャンバスや、田中が調色し、色別に分けて保管していた塗料、田中が制作で使用していた絵筆等を鍋倉が譲り受け、それらを十二分に生かした、二人への「オマージュ」展である。
出品作のうち円形のキャンバス6点は、当初はギャラリークラヌキ(大阪、1991年)での田中の個展用に準備されたもので、下地のみが塗られたままの状態でアトリエに残されていた。鍋倉はそこに田中の塗料を施したのだが、興味深いのは、それらの色彩は田中が調色したままで、あたかも色見本のような様相を呈している点である。つまり鍋倉はこれらの作品で、鍋倉自身が編み出した形象の独創性を披露しているのではなく、あえて田中の絵画言語である円やその構図をなぞることで、田中特有の色彩感覚を図解してみせたのである。
ただこのうち2点では、田中が用いることのなかった直線が現れ、1点は画面中央で赤と青に、もう1点は同心円のもっとも外側の円が赤と黄に分割されている。いずれも金山が好んだ色彩の組み合わせであり、しかも金山作品の基本となっていた直線的形態を思い起こさせ、田中のみならず金山にも賛辞を込めた作品となっている。また矩形の作品も、すべてアトリエにあった材木とキャンバスを活用したもので、その多くは金山作品に特徴的であった幾何学的形態の配置や直線の反復、赤・青・黄の組み合わせに基づいている。もっとも中には金山とは無縁の、大円の周囲に小円を配している構図もある。これは先の円形2点と同様、金山ならびに田中のスタイルに関する解釈を鍋倉流に一つに融合させた作例と呼べる。
大円と小円による作品でさらに注目したいのは、大円の周りに並んだ小円が厚みを持っている点で、そこに鍋倉らしさ、金山や田中よりも支持体そのものの存在感を強調する姿勢が如実に表れている。本作以外にも、トタンの波板や塩化ビニルの樋といった具体時代の素材を支持体の一部に採用した作品、小さな多数の矩形の突起を規則正しく貼付した作品など、いずれも金山や田中が試みなかった素材を組み合わせ、支持体の物質的側面を強めた。これら多様な作品によって本展は、金山、田中、鍋倉という三者の志向の同異を発見する好機となるにちがいない。
加藤瑞穂(美術史家、大阪大学総合学術博物館招へい准教授)
イベント情報
*作者在廊* 15:00~19:00
ホームページ
http://www.ladsgallery.com/exhibitions/room.html
会場住所
〒541-0043
大阪府大阪市中央区高麗橋4-8-5 淀屋橋クリスビル(正亜ビル)1F
交通案内
・地下鉄御堂筋線・淀屋橋駅(⑨・⑫出口)より西へ徒歩5分
・地下鉄四ツ橋線・肥後橋駅(⑤-A・⑥出口)より東へ徒歩5分
ホームページ
http://www.ladsgallery.com/
会場問合せ先
06-6453-5706
大阪府大阪市中央区高麗橋4-8-5 淀屋橋クリスビル(正亜ビル)1F
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