①生誕120年 柳瀬正夢
当館が重点的に顕彰・作品収集を進めている作家の一人である松山市出身の柳瀬正夢(1900-45)。洋画のみならず、グラフィックデザイン、風刺漫画、舞台美術、写真など、圧倒的な質量の仕事は、近代日本の前衛美術 の流れにおいて、ゆるぎない評価を得ています。生誕120年の節目となる今年、コレクションを一挙公開します。早熟の天才としてデビューした10代半ばから、45歳で空襲に遭い生涯を閉じるまで、濃密に時代を駆け抜けた柳瀬の魅力を存分にご堪能ください。
②新収蔵記念 吉田博と中川八郎
昨年度、新たにコレクションに加わった洋画家・吉田博(1876-1950)による木版画《瀬戸内海集》。光と影のうつろいで表情を変える海の様子を、繊細で叙情的に表した本作は、彼の代表作の一つとして知られます。本展では、《瀬戸内海集》のうち新収蔵2点をお披露目す るとともに、当館コレクションの吉田作品ならびに吉田の盟友であった内子町出身の中川八郎(1877-1922)の作品を一堂に紹介し、二人の絆をたどります。また、吉田が四十島(ターナー島)を描いた油彩(道後・ふなや所蔵)も特別出品します。
③「写実」ってなぁに?-岸田劉生から超写実絵画まで
絵画を説明する時によく耳にする「写実的」という用語。しかし、「写実」とは具体的にどういう表現を指すのかは、時代や人によって見解・定義が異なります。本来は、19世紀フランスの画家、クールベが「社会の現実をありのままに描く」ことを主張した「写実主義」に始まりますが、現在は、まるで実物と見まがう克明な表現をイメージする方が多いでしょう。コレクションから「写実」で描かれた作品を選んで 展示します。写実のカリスマ・岸田劉生から、最近流行の「超写実絵画」まで、各作家がそこに何を込め、何を伝えようとしているのか、皆さんにも考えながら見ていただければと思います。