花は、古来よりその美しさから人々の関心をひきつけました。また、形、色、香りの多様さ、咲きそろう華やかさ、可憐さ、そして散りゆくはかなさから、喜び、悲しみ、愛情、幸福、平和など多くのイメージの源泉となり、さまざまな芸術作品に描かれてきました。
例えば、菅玲子《子どもの春(さくらと仔犬)》では、満開の桜のもと、子どもが子犬とたわむれ、画面全体からほのぼのとした温もりが感じられます。一方室越健美は花のイメージを抽象化した形体を組み合わせた《花のかたち》を描き続けています。
これらのほか、被写体に秘められた美を独自の構図により探求した秋山庄太郎の《『花逍遥―366日』よりバラ》、独自の色彩感覚でとらえた蜷川実花の作品などにより、多様に表現された花を紹介します。