新見市の総面積の80%以上が森林であるという。
便利な日常を生きていても、遠くに響く鳥の声や積み重なる落ち葉の柔らかさ、霧が山にかかる朝の空気や音のしない夜の山影を私たちはよく知っている。
片山康之の作品は、丹精に形作られた人物等に自然由来のパーツが加えられ、深く思いに沈む感覚とどこか原始的な恐ろしさを抱かせる一方で、生命が朽ちて終わりではないことに気づかせてくれる。
漆という伝統的な素材を用いた加藤萌の作品は、その質感が現代的な造形に静謐さを、また漆を塗り重ねるのに要した時間が重厚さを加えていて形状を超えた魅力がある。
身体で自然を知る我々に両者が何を想起させるのか、展示空間に身を置いていただきたい。