――37年ぶりの大規模な回顧展――
三重県松阪市に生まれ、京都画壇を代表する日本画家として活躍した宇田荻邨(1896-1980)が世を去り40年の歳月が流れました。流麗な線描と明るく爽やかな色彩で描き出される格調高い荻邨の京洛風景は、今もなお人々を魅了してやみません。
松阪第一尋常高等小学校(現・松阪市立第一小学校)時代から非凡な才能を示していた荻邨は、伊勢の画家・中村左洲に手ほどきを受けた後、1913(大正2)年に17歳で上洛。京都画壇の菊池芳文、芳文没後はその養子である契月に師事して研鑽を積み、1919(大正8)年の第一回帝展に《夜の一力》が初入選を果たします。以降、帝展・新文展・日展・京展などを舞台に活躍を続け、近代の日本画界に確固たる地位を築きました。
今回の展覧会では、初期から晩年までの代表作に、思考の跡をたどることのできる下絵や写生帖などを加えて展観し、65年に及ぶ荻邨の画業をご紹介します。三重県立美術館が【没後三年 宇田荻邨展】を開催してから、37年ぶりとなる回顧展にどうぞご期待ください。
*会期中、一部の作品は展示替を行います。また、展覧会の内容が変更になる可能性があります。