浮世絵は17世紀後半に始まり、明治期にいたるまで広く庶民に支持された江戸時代を代表する芸術でした。日本の中心地であった江戸は、文化文政期(19世紀初頭)に入ると、町人の人口が57万人を超え、武士を合わせると100万都市と言われるまでに拡大しました。庶民文化が成熟するなか、行動範囲や娯楽の対象はさらに広がり、浮世絵の中にも人々の関心を惹く様々な主題が現れました。
本展は、当時の江戸っ子が夢中になった様々なブームや日常の暮らしに寄り添った娯楽の数々をキーワードにして、後期浮世絵画壇を代表する葛飾北斎、歌川広重をはじめ、歌川豊国・国貞などの作品約150点(肉筆画を含む)を展示し、江戸の人々が愛した娯楽の秘密に迫ります。
また、猫好きで知られる歌川国芳の猫が擬人化された役者絵やおもちゃ絵など、猫をテーマとした作品の数々を紹介する特設コーナーも設置します。
浮世絵の世界を通じて、花のお江戸ライフをお楽しみください。