まぶしい太陽と楽天的で情熱的な人々、そして街のいたるところに見られる色とりどりの壁画。はるかかなたにある魅力的な地、メキシコ。20世紀前半、その地に素晴らしい文化が花開きました。フリーダ・カーロら、女性芸術家たちの活躍です。知性と想像力に溢れた彼女たちの芸術は、シュルレアリスムの幻想性も伴っており、今なお我々を惹きつけてやみません。
フリーダ・カーロは、苦悩と闘いながら透徹した眼差しで自己を見つめ、自画像をはじめ、強い意志を感じさせる作品を生み出していきました。また、マリア・イスキエルドは現実と非現実がないまぜになったような不思議な光景を表現しています。メキシコで生まれ育った彼女たちの作品には、メキシコの風土に根ざした作風が現れています。一方で、ヨーロッパからメキシコへ亡命し、ヨーロッパとメキシコ双方の影響のもとに作品を制作したのが、レメディオス・バロ、レオノーラ・キャリトン、アリス・ラオンです。レメディオス・バロとレオノーラ・キャリトンは豊かな想像力によって幻想的な空間を作り出しました。アリス・ラオンは鮮やかな色彩によって神秘的な美しさをたたえた作品を描き出しています。そして、メキシコに生まれたローラ・アルバレス・ブラボとヨーロッパから亡命したカティオ・オルナの二人も、女性写真家として忘れてはならない存在です。
この展覧会では、絵画作品約80点、写真作品約50点が出品され、メキシコという地で生き生きと人生を送り、その才能を発揮した女性芸術家たちの世界が紹介されています。彼女たちとともにひとときのメキシコへの旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。