古代オリエントの香油壺にはじまり、近代ヨーロッパの生活を華やかに彩った陶磁器やガラスで作られた様々な香水瓶など異国の香りの器。あるいは香道の道具類にみられる賛を極めた漆工芸品、また陶磁器、金工品による香炉や香合といった我が国の伝統的な香りの器。本展では、高砂香料工業株式会社が長年にわたり収集してきたこれらの香りにかかわる質の高いコレクションから、およそ240点を選りすぐり展観いたします。香りとその器の歴史は人類の誕生とともに始まったとも言われます。古今東西の香りに関する工芸作品を鑑賞することは、奥深い香りの歴史と文化に触れることに他なりません。加えて、東京会場である当館の展示では、国内の美術館から特別出品作品を迎え、香りを想起させる貴婦人の肖像画や、アール・デコ時代を象徴するような作品をご紹介します。香りの器が、同時代の絵画やデザインと深く関連付くものであることも実感いただけるでしょう。