「良寛さん」と呼ばれ、今も多くの人々に愛され続ける良寛(一七五八~一八三一)は、名利(みょうり)にとらわれぬ生活を送った托鉢僧(たくはつそう)でした。清貧の中で生きとし生けるものに慈愛の心を注ぎ、子どもらと手まりをついて戯れ、友と語り、和歌や漢詩など芸術にいそしみました。また、仏教者としても菩薩行(ぼさつぎょう)を実践した稀有(けう)な人でした。その人間性を表出した書は、見る者の心にあたたかさと感動を与えてくれます。
本展では、日本有数の良寛コレクター秘蔵の遺墨を中心に、新たにそのコレクションに加えられた四八件を含む約一五〇件を公開します。その書と芸術に触れていただく絶好の機会となります。