中平卓馬(なかひら・たくま、1938年生まれ、横浜在住)は、1960年代に始まる日本写真の転換に重要な役割を果たした写真家です。当時の中平は、粒子の粗い画面やフォーカスをはずした写真によって、既成の表現からの脱却を試みます。しかしその後、そうした詩的な描写をみずから否定し、被写体とのなまの出会いを重視する、「図鑑」のような写真に向かいました。いまも展開を続けるその直截な表現は、現代の写真表現に大きな影響を与えています。
本展は、初期作品から新作まで、彼の全容を紹介する初の本格的な個展となります。