はるか3200年も昔に作られた巨大な青銅器から、明・清時代に製作された手のひらに載るほど、かわいらしい文房具や香台までを展示します。藤田美術館は、明治~大正期にかけて旧男爵藤田家が収集した美術品を収蔵しています。今回は藤田家コレクションの中から、中国で製作され長い間日本人に愛されてきた中国古美術をご覧いただきます。よく知られていますように、日本は他の近隣諸国とともに、中国を発信源とする制度や文化の影響を受けてきました。中国は長い間あこがれの対象であり、その時々でさまざまな文物を日本は輸入してきました。古代~奈良時代の仏教美術。鎌倉~室町時代には禅や喫茶にまつわる書画、陶磁器、漆芸。江戸時代は文人が好んだ中国書画や文房具、茶道で好まれた青磁や染付。さらに江戸・明治時代以降には、殷~周時代の青銅器や唐三彩など、多くの作品が長い時間をかけて日本へともたらされました。
当展覧会では、単に長い中国の歴史を概観するだけではなく、日本人が特に大切にしてきた作品を中心として構成されています。悠久の流れのなかで、中国が作り上げてきた様々な美術工芸品より、日本人が選び出した美しいものを再発見してみてはいかがでしょう。