二楽荘は兵庫県武庫郡本山村岡本(現神戸市東灘区岡本)の山麓に明治41年、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)の第22世門主・大谷光瑞が建てた別邸です。それまでは、神戸須磨の月見山に別邸(現須磨離宮公園)を構えていましたが、明治40年、その地が宮内省に買い上げられたのを機に、新しい地を求 め六甲山の山麓に壮大な構想を巡らしました。六甲山麓の中にひときわ目立った二楽荘は、日本初と言われるケーブルカーを設置した別荘でした。一方では、荘内に中学を開校したり、気象観測所・園芸部・出版部なども置かれ、多方面にわたる活動が展開されました。また、中央アジア・インド全域に調査活動を展開した大谷探検隊の収集資料の調査、研究、公開も併行して行われました。しかし、建築からわずか5年で閉鎖され、昭和7年惜しくも焼失の一途をたどりました。
今回の展示は、前回の展示がきっかけとなり、新たに確認された地元に残る二楽荘関連の資料や散逸してしまった大谷探検隊の資料を初公開すると共に、武庫仏教中学関連の聞き取り調査や断片資料の検索成果も交えました。そして、さらに、須磨の月見山別邸から取り上げ、二楽荘の歴史的、地域的な位置付けを検証しました。