色鮮やかなパステルや油彩で知られるルドンは、1840年フランス南西部のボルドーに生まれ、パリの美術学校でアカデミーの画家ジェロームに師事しました。その後細密な銅版画で知られるブレスダンからエッチング、またファンタン=ラトゥールから石版の技法を学んでいます。ボードレール、マラルメ、エドガー・アラン・ポーなどの象徴派の文学者、詩人たちとの交友があり、彼らの影響もあって作品上に不可思議で幻想的な世界を構築しました。
「黙示録」は、キリスト教の正典である新約聖書の最後に収録されている預言書です。キリストの弟子であるヨハネの見た世界の終末に関る幻視が著されているとされており、ルドンはその摩訶不思議な世界を、表紙を含め全13枚の石版画に表現しました。深々とした漆黒の向こうから差し込むような光が非常に印象的な作品です。今回の展示では、この「ヨハネ黙示録」全点をまとめて展示します。