加守田章二(1933-1983)は、20世紀後半に活躍し、50歳を目前に亡くなった夭逝の陶芸家です。陶器の形態に造形、文様、質感の関係性を追求し、独自の陶芸表現を切り拓きました。
大阪府岸和田市に生まれた加守田は、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で陶芸を学び、1959年に栃木県益子町で独立します。灰釉作品で注目されるようになると、新たな制作環境を求めて1969年に岩手県遠野市へ陶房を移しました。遠野で約10年間を過ごした後、晩年の一時期は東京都東久留米市で制作します。
独立後わずか20年程であったその作陶期間において、加守田は旺盛な制作意欲で絶えず作風を変容させていきました。しかし、いずれの作品にも、大地の根源的な力を表すような土肌の荒々しさや、造形に見る鋭さと緊張感、そして器体を覆うように描き込まれる文様の密度といった力感が示され、同時に、造形と文様を緊密に連動させる計画性や、陶器の形態に個人の表現を求める意思といった現代作家としての思考を窺うことができます。
本展では、1960年代半ばから1980年までの作品約65点によって、加守田の短く濃密な作陶人生における制作の変遷と深まりを追うとともに、その魅力に迫ります。