木もれ陽は、文字通り樹木と陽光が作り出す身近な風景でありながら、日々の生活でそれを意識することはあまりありません。しかし、テレビモニターやネオンサインなど人工の光に囲まれた生活の中で、木々の間からのぞく天空を見上げたとき、ふとした安らぎを感じるものです。そんな感覚を大切にした作家たちが静かに増えてきています。樹木に身体を包み込まれる感じ、それ自体を描いた日高理恵子のような平面作家たちから、人工光とこうもり傘を使って様々な形の木もれ陽を作ろうと試みる木村崇人まで、表現形態は作家それぞれですが、彼は確かに植物と光に関心を寄せています。これは光と植物がもつ生命のイメージを見直す動きとみてもよいのではないでしょうか。
本展では「やさしい光」あるいは「光と植物」をテーマとしたこうした作品群を展示しA現代社会の喧騒のなかに、生命と光があふれた静かな空間を作り出します。