この春106歳を迎えた篠田桃紅。水墨抽象画という独自のスタイルを確立し、100歳を超えてなお、新たな表現に挑戦し続けています。
高梁市成羽美術館では、「自らに由って独立独歩で作品を作り、自由に生きてきました」と語る桃紅の足跡を辿る展覧会を開催します。
桃紅は1956年に渡米し、世界の最先端アートシーンを体感。伝統と革新をその身に刻み込んだ不世出の芸術家です。移ろいゆくものに心を寄せ、真の美を探求し続ける桃紅の「墨いろ」は、自然の幽玄さと宇宙の無限の広がりを感じさせ、現代を生きる桃紅によって見出された日本の普遍的な美のかたちは、一筋の線となってリズムを奏でます。
本展では、書道という枠の中で発展した初期の作品から、文字を離れ、墨の色や線を追求する独自の抽象表現を確立したニューヨークでの挑戦、日本の古典をベースに昇華された繊細で優美な表現、そして余分なものをすべて削ぎ落とし、一瞬の心のかたちを追求し続ける現在までの変遷を約80点の作品で体系的に展観します。