判じ絵は、江戸時代の庶民に広く親しまれた、絵を読み解いて答えを導き出すなぞなぞです。浴衣や手ぬぐいの柄としてよく知られている「鎌○ぬ(かまわぬ)」も、もとは江戸時代前期から存在する判じ絵の一種といわれています。
平安時代後期の「ことば遊び」などが起源と言われる判じ絵は、特に江戸時代後期の浮世絵師たちによって趣向を凝らして描かれ、巷に大いに流行しました。テーマとなるものは、手紙、地名や動植物、台所用品、役者や力士の名前など多岐にわたります。しかし、画中には不可思議とも言える図柄が描かれているために答えを直接導きだすことが難しい場合が多く、当時解読に挑戦した人々も、これには大いに頭を悩ませたことでしょう。そして、それが判じ絵の楽しさともなっているのです。
本展覧会では、江戸時代の浮世絵師たちが描いたこれらの判じ絵を中心に、100点あまりを紹介します。江戸の庶民と知恵比べをしながら、奇想天外かつ愉快な判じ絵の世界をお楽しみください。