竹久夢二が表現する作品世界は、抒情に満ちた女性絵をはじめとして、日本的な美の要素が強く感じられますが、その一方で西欧世紀末芸術などから影響を受け「異国趣味」(エキゾティシズム)に満ちた作画も多く認められます。
夢二は少年の頃より異国に憧れ、またキリスト教に傾倒し将来は洋行することを夢見ました。晩年に外遊を実現した夢二でしたが、彼が生み出した数々の作品は外国の土地を踏む以前から、モダンで新鮮な情調に包まれています。外国の絵画が紹介された美術雑誌やたゆまないイマジネーションが創作の根源となり、夢二はロマンに満ちた異国情緒溢れる世界を開花させました。
夢二は近代の日本において、西欧文化の息吹を敏感に受容し、その魅力を大衆にいち早く発信した画家といえるでしょう。さらに東洋美術にも眼を向け、夢二は中国の故事や南画の影響を受けた作品も残し、形式に捉われずに幅広い表現で独自の画風を築いていきました。
まだ見ぬ異国に思いを巡らせ、夢二が表現した200点の作品より、エキゾティックな世界をお愉しみください。