呉市立美術館は、漫画家こうの史代氏から『この世界の片隅に』のマンガ原画の寄託を受けたことを記念し、コレクション展Ⅱとして「この世界の片隅に」マンガ原画展を開催します。この漫画は、2007(平成19)年から2009年まで『漫画アクション』(双葉社)に連載され、2009年には「文化庁メディア芸術祭漫画部門」で最優秀賞を受賞し、2011年と2018年にテレビドラマ化され、2016年には片渕須直監督によりアニメーション映画になり、現在もロングラン上映されています。
物語の主人公すずは広島の江波に生まれ、1944(昭和19)年に呉鎮守府軍法会議に勤める青年の妻となるため、呉の町へ嫁いできます。おおらかな性格の彼女は、乏しい食料や物資の中でも工夫を凝らし、迫りくる戦争の影に怯えながらも、得意な絵を描き、日々の暮らしを慈しみながら懸命に生きていきます。戦時中に広島と呉で実際に起こった出来事を背景に、すずたちの姿を通してごく普通の人々の生活を描くことで、人間の尊厳とやさしさとは何かを私たちに語りかけてきます。
漫画48話の中から厳選27話の原画246点と資料、合わせて約280点を1階展示室にて通期展示。また期間限定(8/8-27)で、2階展示室を合わせほぼ全館で、全原画を展示します。印刷ではわからない原画の魅力を存分に感じていただければと思います。
展覧会開催につきましては、皆様から中国新聞社「カナエンサイ夢プロジェクト」クラウドファンディングを通して、多大なるご協力をいただきましてありがとうございました。ご協力に心より感謝し、この漫画のもつ力をこれから先も伝えていきたいと思います。