静物画は、切花のように自然から切り離されたもの(花、果実、貝殻、魚など)や陶磁器、楽器等の人工物など主に日常的にある素材をモチーフにして描いた作品を示します。
こうした身近なものを描く静物画は、風景画、人物画に比べ、自由にいつでも制作できるという利点があり、画家の趣向が直接的に反映しやすい分野といえます。
今回は、片多徳郎、権藤種男など官展系画家たちの静物画から、画面に素材そのものを貼り付けた風倉匠、2000年以上前のローマに存在したエンコスティック(蜜蝋を主成分とし、顔料や樹脂を混ぜた絵具を熱で固定させる画法)を再発見した赤木範陸、カラー写真プリントを用い、別の画家の静物画に自身の顔をはめ込んだ森村泰昌といった、様々な表現・技法で描かれた静物画を紹介します。