中国絵画でいちばん大切とされる表現は、墨の「かすれ」や「にじみ」などの筆墨表現です。墨の濃淡で描かれた水墨画は確かに一見どれも似たように感じられるかもしれませんが、いくつかの作品を見比べながら目を凝らして画面をみてみると、墨の線や点、ぼかしなどに、多様な表現が用いられていることに気づかされます。
特に、中国文化の爛熟期といわれる、明から清時代の中国絵画には、元時代に完成した伝統的な筆墨表現に加え、個性的で独特の表現が次々に生みだされ、史上まれにみる幅広い筆墨表現をみてとることができます。
今展では、墨線、墨点などの筆墨表現に焦点をあてながら、山水画、人物画、花鳥画のバラエティ豊かな中国明清絵画をお楽しみいただきます。