この展覧会は、広大なアフリカ大陸のなかでも、とくに豊かな歴史と多様性を誇る西アフリカ地域の美術を総合的に紹介するものです。出品作品には、紀元前に存在していたといわれるノク文化のテラコッタ像、16世紀頃からヨーロッパの植民地支配が始まるまで栄えた数々の王国のブロンズや真鍮の作品から、ギニア湾地域における金の重要性を物語る装身具や、金の取引に使用された錘(ゴールドウェイト)、そして仮面や人物像などの木彫作品や着衣服などの織物まで、独自の文化的背景をもつさまざまな美術品が含まれます。西洋美術と比べるとまだ馴染みが薄いともいえるアフリカ美術ですが、その独特な象徴表現や、儀礼などの社会的文脈における意味、また力強いと同時に繊細であるといえる作品の表情を通じて、アフリカ美術の奥深い魅力を紹介します。