1964年、東京オリンピック開催を機会に、国立近代美術館(東京)、石橋美術館(久留米)、国立近代美術館京都分館(京都)、愛知県文化会館美術館(名古屋)を巡回して開催された「現代国際陶芸展」では、日本で初めて世界各国の陶芸が一堂に集められ、展観されました。そしてそれは当時「日本陶芸の敗北」と評されるほどの衝撃を、日本の陶芸界に与えました。
本展覧会では、海外陶芸との出会いによって大きな刺激をうけた日本陶芸の1960年代の動きに注目し、両者の出会いの場となった「現代国際陶芸展」が与えた影響を検証します。また展覧会準備のため、この年欧米各国を旅し、作品を集めた同展覧会開催のキーパーソン、小山冨士夫(陶磁器研究家、陶芸家1900-1975)の旅の記録もあわせて紹介します。小
山によって選び集められた海外の作品群は、現代陶芸にむけられた小山の眼も示しているといえるでしょう。当時の出品作品および同時代の作品を核に、「現代国際陶芸展」を記録とあわせて再現的に紹介しながら、この時代の日本内外の陶芸の姿をご覧いただきます。そして、同展覧会に出品した作家、展覧会をみて刺激をうけた作家たちによる、当時を振り返っての言葉を証言として、同展覧会が与えた影響を探り出していきます。
本当に日本陶芸は敗北だったのでしょうか。「現代国際陶芸展」の検証とともに、戦後の日本陶芸に拓かれた新たな世界をとらえていきたいと思います。