鹿児島県霧島アートの森では,2017年度より「アートラボ」事業を開始します。本事業は,鹿児島ゆかりのアーティストが展示ロビーにおいて作品を展示します。本年度は4名(組)のアーティストが予定されており,第2弾の今回は,パンダ絵師あごぱんの展覧会を開催します。
豊かな色彩,緻密な線,独特の構図で表現されるあごぱんの作品は,過去と現代が同居する鹿児島の町並みや,失われつつある伝統文化の要素を巧みに取り入れています。また,年代を問わず郷愁を誘い,鑑賞者が作品に描かれた人物と自らの姿を投影したくなります。しかもそれらは,どこか抑えた表情の擬人化されたパンダとして描かれているのです。
人物の姿で描くと生々しい事象が,かわいくてユーモラスな見た目から「免罪符の動物」と捉えられるパンダの姿に変換して表現されるあごぱんの作品。私たちは物事の本質にたどり着く前に,表層の姿によっていとも簡単に騙されてしまう「現代が持つ危うさ」に気づかされるかもしれません。