14世紀後半から20世紀初頭にかけての明清時代は、長い中国の歴史の中で国力の面でも、美術においても隆盛を極めました。特に書画は宮廷画家や文人たちにより多様な作品が残され、それらは日本の絵師たちにも大きな影響を与えました。
この度、東京大学東洋文化研究所教授板倉聖哲先生、同じく准教授塚本麿充先生に館蔵の中国絵画の調査を依頼し、その成果を踏まえて館蔵の中国絵画を一堂に展示いたします。
明時代の万暦5年(1577)に趙浙によって描かれた重要文化財「清明上河図」は、北宋の都であった開封での、春の到来を喜ぶ清明節の祭りの賑わいを描いた作品で、当館が誇る中国絵画の代表として知られています。花烏画を得意とした呂紀が描いたと伝えられる岡山藩主池田家伝来の「鶴桃図」は、谷文晁ら日本の絵師に影響を与えました。その他にも明時代の宮廷画家である王諤の「春景山水図」、明末清初の文人、曹岳の「邱壑林泉図」など明清時代の中国絵画をご覧いただくとともに、日本におけるその受容と展開も紹介します。あわせて同時代の堆朱や螺鈿などの工芸品も展示します。
また、コンテンツ株式会社の技術協力をいただき、祭りの様子を緻密に描いた「清明上河図」を超高精細デジタル画像化しました。風俗画としても史料価値の高い本作を、大画面の4Kテレビで自由に拡大してご覧いただきます。
ぜひこの機会に当館所蔵の中国絵画の全貌をお楽しみ下さい。