万余の点と万余の線、特異な幻想と緻密な世界。
銅版画家・清原啓子(1955-1987)が、その短い生涯の中で残した作品は僅か30点。久生十蘭や三島由紀夫などの文学に傾倒し、神秘的、耽美的な「物語性」にこだわった精緻で眩惑的な銅版画は、没後30年を経て、今なお人々を魅了しています。
本展覧会では、夭折の銅版画家として伝説的に語られる清原啓子の全銅版画と、銅板原版及び下絵素描、最後の完成作《孤島》の制作過程を示す試刷り、制作ノートなど、未発表を含む様々な資料を展示します。また、彼女が影響を受けたヨーロッパの画家・版画家、ジャック・カロ、ギュスターヴ・モロー、ロドルフ・プレスダン、オディロン・ルドンの作品を紹介し、清原の創作の源泉をたどり、その全貌に迫りよす。