美術と文学は古くから「姉妹芸術」であると言われてきました。「形」と「言葉」という異なる方法ではありますが、何かを表現するという点が共通していたからです。画家たちにとって小説や能などの物語は、自らの想像力を刺激するインスピレーションの源泉でした。文学作品を自らの表現で新しいものへと変えていき、その中には描かれた物語と、画家が読んで感じた思いが込められています。
また、画家たちの中にも文学に強い関心を抱き、自ら文章を書いていた者も少なくありません。山口薫は自らの作品に詩を添え、小林和作は旅先でスケッチだけでなくエッセイを書き記すなど、画家にとって「形」と「言葉」は密接に結び付いたものでした。
今回の展覧会では所蔵品の中から、小説や能など物語を主題にして描かれた作品や、文学から影響を受けた作家の作品約40 点をご紹介します。画家、写真家による詩情豊かな作品をお楽しみください。