このたび奈良県立万葉文化館では、特別展「中島潔〝今〟を生きる-そして伝えたいこと」を開催いたします。
中島潔は昭和十八年(一九四三)に生まれ、十八歳まで佐賀県で過ごしました。昭和三十六年(一九六一)に母の死を機に上京。独学で絵を学びつつ、イラストレーター、アートディレクターとして活躍します。そして昭和四十六年(一九七一)に渡仏し、本格的に画家になることを決意し、昭和五十七年(一九八二)にNHKテレビ「みんなのうた」のイメージ画を描いたことで注目を集めていきます。
鮮やかで温かみのある色彩で子供や女性の姿や故郷の情景を描き続けてきた中島潔は、優しい風が吹き抜けるようなその作風から「風の画家」と評されています。本展覧会では、中島潔のこれまでの軌跡を辿りつつ、東日本大震災を経て制作された新作「新しい風」シリーズ、京都六道珍皇寺奉納の「地獄心音図」とこの世の理想郷を描いた「心音」からなる連作「心音図」など近年の作品を展示します。また、特別に本展に合わせて描き下ろされた新作「万葉舞花」を初披露いたします。常に変化を求め新たな境地で描かれる中島潔の世界を、是非お楽しみください。