夢と現(うつつ)のあいだを、はだしで散歩するような、あたたかな孤独に包まれて、南桂子(1911-2004)の作品は今もここにあり続けています。
のちに20世紀を代表する銅版画家となる浜口陽三との出会いをきっかけに、戦後のパリで銅版画家の道を一途に歩んだ南桂子。作品の世界は、遠くをみつめるまなざしでつくられたその日から、今日とは別の時間軸に存在し、いつまでもいつまでも変わることはありません。
眼に映る色をもう一度つくりなおしたような新鮮さと、心に寄り添うなつかしい時間を、春のひとときにどうぞお楽しみください。
南桂子の銅版画約50点と浜口陽三の銅版画約20点を展示します。