少年期、文学好きで画家に憧れていた森山大道(1938-)にとって、パリは芸術への憧憬そのものでした。青年期、森山はウジェーヌ・アジェのパリの写真と出会い、その静謐な作品に秘められた「在るものを在らしめよ」という、原質としての写真の凄さに衝撃を受けます。そして50歳をむかえた森山は、パリに拠点をもち2年余りを過ごしています。ギャラリー開設の夢は、やがてパリの街を巡り歩き撮影する方向へとシフトしていきました。この展覧会では、森山の意識の底につねに秘められたパリの写真を、80年代から90年代のプリント約120点を集め展観します。