田川市美術館は平成3年に筑豊地区初の美術館として「筑豊からの発信」をテーマに開館しました。郷土ゆかりの作家たちを中心に企画展を開催して今年で25年目を迎えます。新たな一歩を踏み出すこの年に、筑豊という地の原点を見つめなおしました。筑豊・田川という地域は近代日本史において、石炭によって繁栄を極め、所得番付の上位を占めるほどの成金王が誕生した一方で、過酷な労働を強いられ、貧しいがゆえに理不尽な処遇を受け続ける者も数多く存在しました。そうした悲惨な環境のなかにあっても、人々はその理不尽さに抗いながら反骨の魂を抱いて生き抜いてきました。栄枯盛衰も世の常、筑豊炭田にも暗い影が差し始め、やがて閉山、賑やかりし炭住長屋も廃墟となり、ボタ山の残骸も今では跡形もなくなりました。人々の心からも反骨の魂は消え去ってしまったのでしょうか。本展では、日本の美術界を牽引してきた作家から現在活躍中の作家まで、42名のアーティストが心の奥底から沸々と湧き上がる「反骨精神」を皆さまへ伝えます。過去には文化不毛の地とさえ言われた筑豊に、全国から気骨溢れる作品が集う力強い展覧会をぜひご堪能ください。