髙橋節郎(1914~2007年)は、漆という日本古来より伝わる素材・技法を用いながら、常に自由で新しい発想を作品で表現し続けた芸術家でした。戦後、キュビスムやシュルレアリスムといった西洋の美術様式を取り入れながら、大型の漆屏風や平面パネルに漆黒と黄金で描く独自のスタイル、鎗金(そうきん)技法を確立しました。しかし、髙橋節郎の止むことのない漆への探究心は平面だけにとどまらず、70歳代後半からは多様な形態をした立体作品を発表しました。
この度の企画展では、髙橋節郎作品の晩期のスタイルに着目し、1990~2000年頃の乾漆立体作品を中心に紹介します。平面から立体へと飛び出してきた髙橋作品を是非ご堪能ください。