みのかも文化の森の生活体験館、通称「まゆの家」は、かつて美濃加茂に建てられていた養蚕民家を復元したもので、 養蚕のための工夫がいろいろなところでみられます。たとえば天井に設けられた障子窓は、飼育の際、部屋を暖めるために用いた火鉢の煙抜きをするためのものです。また家の周りの縁側は、カイコのエサのクワを部屋の中へ運び込むのに便利でした。
美濃加茂の養蚕は、明治期に始まり昭和40年代頃まで盛んに行われました。カイコは飼育の時期で、春蚕(はるこ)、夏蚕(なつこ)、秋蚕(しゅうこ)、晩秋蚕(ばんしゅうこ)と呼ばれ、冬以外の1年を通して飼育されました。ふ化から繭までは、およそ30日かかります。母屋の部屋に目棚(めだな)という棚を設置し、そこで飼育をしたため、「座敷飼い(ざしきがい)」と呼ばれました。飼育のあいだ、人は納戸(なんど)や土間で寝食をしました。「まゆの家」は、人の生活よりも大事にされた「おかいこさま」の歴史がつまっています。
本展では、「まゆの家」にボランティアによって目棚を作り、飼育の様子を再現します。民具展示館では、飼育の道具を展示し、使い方を紹介します。関連講座は6月25日(土)に「真綿づくり」を行います。