当館コレクションより、世界中で人気のあるシャガールの版画をご紹介いたします。
色彩の魔術師といわれるシャガールは、鮮やかな色を自由自在に使った幻想的な絵画で親しまれています。
シャガールは油彩と同等に版画を多く制作した画家で、本展のサーカスの他に、聖書や物語をテーマとした版画を発表しています。
多くの画家が描くテーマとして扱った“サーカス”は、シャガールにとっても重要なテーマで、長い期間にわたって度々描いた主題の一つです。サーカスに登場する道化師や踊り子などの姿に、宗教上の人物や、故郷をなくしたシャガール自身を重ねていました。
華やかな舞台で感じる光とその裏側にある影を人生そのものだと感じ、自身の作品において重要なモチーフである恋人たち、バイオリン弾きや故郷の風景などを織り込んで表現しています。
カラーリトグラフによる色彩だけでなく、モノクロリトグラフによる力強い線の美しさもあわせて、シャガール芸術の幻想的な世界をお楽しみください。