爲三郎記念館におきまして、美濃焼の名窯・幸兵衛窯をとりあげた幸兵衛窯歴代展を開催いたします。幸兵衛窯は文化元年(1804年)、初代加藤幸兵衛により岐阜県多治見市市之倉に開窯、まもなく江戸城本丸と西御丸へ染付食器を納める御用窯となりました。その後、代々が染付の研究を重ね、五代 加藤幸兵衛(1893~1982)は、中国陶磁をはじめ幅広い作風を駆使し、岐阜県重要無形文化財に認定されました。また岐阜県陶磁器試験場の場長を23年間勤め、技術開発や後進育成に尽力し、美濃焼の父と呼ばれています。六代 加藤卓男(1917~2005)は古代ペルシャ陶器の斬新な色彩や独創的な造形に魅力を感じ、西アジアでの長年の発掘研究を経て、幻の名陶ラスター彩の復元をはじめ、様々なペルシャ陶技の作品を生み出しました。また、正倉院三彩の復元にも成功し、その功績により人間国宝に認定されました。七代 加藤幸兵衛(1945~)は、近年では父 卓男が甦らせたペルシャ陶技を継承しつつ現代的な作風を展開し、世界各国で個展を開催するなど、美濃陶芸界を牽引しています。八代 加藤亮太郎(1974~)は、志野をはじめとした茶陶とオブジェを発表、伝統の中に新しい光を当てた作品を手掛けています。本展では、こうした幸兵衛窯の伝統と自由な作域、受け継がれてきた探究心に焦点をおき、主にこの四世代の作品を初めて一堂に展観いたします。過去、現在、そして未来へと発展し、美濃から世界へと活躍の場を広げる幸兵衛窯の全貌をご覧ください。