戦後の日本画は、第二次世界大戦の敗戦による社会変革が進む中出発した。画家たちは新時代にふさわしい美術を求め、西洋美術の影響の下で新たな画材や技法に挑戦したり、前衛的な表現を模索したりしている。そうした表現も伝統的な美術を基礎とした上での新たな芸術の創造であり、また画家が個々の表現を模索した結果多彩な芸術が花開いていったことは忘れてはなるまい。現代では既存の公募団体展に留まらず、画廊や各種コンクールでの作品発表など活動の場も多様化し、国際的に活躍する画家も登場しているが、彼らもまた常に伝統美術を意識しながら自らの芸術を追究しているのである。
本展は、国内有数の日本画コレクションを誇る佐久市立近代美術館の所蔵品により、戦後から現代までの日本画の名作61点を紹介し、激動の戦後を力強く生きた画家たちと平成の世に未来へ向かって突き進む若き作家たちの創造と模索の軌跡を、風景・人物・花鳥の3つのテーマに分けて検証していく。