ピーター・スタニックは立派な髭を蓄え、ハーレー・ダビッドソンが似合いそうな風貌のアメリカンだ。モチーフもガーターベルトや水着を履いた美女たち、シボレー・インパラ・コンバーチブルの車窓に映るのは、アリゾナの砂漠やニューヨークのユニスフィア、テレビの画面の中にはアメリカン・コミックス、それもまたアメリカそのものだ。
彼が学生だった70年代にはアンディ・ウォ―ホルとロイ・リキテンスタインの二人展がワシントンのギャラリーで開催されるなど、時代はポップ・アート真っ只中である。そんな彼の作品は、良きアメリカのノスタルジーの中に新しさがある。アルミニウムの表面に、様々なモチーフの組み合わせを変えながら作品を作っていく、ウォ―ホルの時代にはまだない、デジタルの進化が生み出したものといえよう。