呉越国(907-978年)は10世紀に中国の江南に位置し、資源に恵まれた豊かな土地を持ち、高い文化が発展していました。越州窯青磁や金銀器など美術・工芸において高い技術を持ち、その一方で仏教を篤く信奉し、国中に数多くの寺院や仏塔が建てられました。また海港都市として、海外である日本や朝鮮半島の高麗、中国北方の遼などと仏教を介した交流が行われ、東アジアにおける文化交流に大きな役割を果たしました。建国から北宋に降るまでのわずか約70年の間に輝きを放ち、消えていった呉越国の文化を、日本初公開作品を多数含む仏教美術や工芸品を通して浮き彫りにします。 (担当 瀧朝子)