中国の工芸は、多様な技術を磨き、洗練を加え、魅力的な作品を生み出してきました。本展観では、中国工芸より陶磁・金工・漆工に注目し、その名品を展示します。
中国の陶磁は、世界に先駆けて青花磁器 (せいかじき) を生み出したことに代表されるように、先進的な技術に満ちています。大和文華館の中国陶磁は、時代や技法のバリエーションが豊かであり、漢時代の緑釉 (りょくゆう)、唐時代の三彩 (さんさい)、北宋・南宋時代の白磁や青磁、元時代の釉裏紅 (ゆうりこう)、明時代の青花や五彩 (ごさい)、清時代の紛彩 (ふんさい) など、世界をリードしてきた中国陶磁の流れを一覧することができます。
中国工芸の歴史の中でも、殷 (いん) から唐の古い時代を中心に隆盛したのが金工です。豪華な輝きをもつ金工は、富と権力の象徴であり、力強い造形や精緻な装飾が施され、祭祀や儀式、宴会を彩りました。
中国の漆工は約六千年前まで遡りますが、洗練された作品が残されるのが漢時代以降です。滑らかで美しい光沢の漆塗り、塗り重ねた漆を彫って文様を表す彫漆 (ちょうしつ)、貝殻を切り嵌め込む螺鈿 (らでん)、文様を彫り色漆をうめる存星 (ぞんせい) など、多彩で華麗な装飾技法が展開しました。
悠久の歴史の中で熟成された中国工芸の深い魅力をご堪能頂ければ幸いです。 (担当 宮崎もも)