古来、阿弥陀如来は、極楽往生を願い来世の安らぎを求める人々にあつく信仰された仏です。中世の人々は、阿弥陀如来の本願を信じて、ただ一心に「南無阿弥陀仏」と唱えるならば、仏の救いにあずかれる、と説く念仏僧の教えに深く帰依したのです。浄土教の教えは平安時代の中頃から、比叡山を中心に行われましたが、鎌倉時代以後、ますます盛んになり、鎌倉に阿弥陀の大仏が造立されるほど、広く人々に浸透しました。
平成14年は鎌倉大仏が造立されてからちょうど750年という記念の年に当たります。そこで、これまでの文化財資料、発掘調査などで明らかになった学術成果を盛り込んだ特別展を開催し、鎌倉大仏に関心を深めていただきたいと思います。この記念の特別展は、鎌倉大仏に関わる種々の文化財、歴史資料にくわえて、阿弥陀信仰に関する仏像、仏画、典籍、古文書などを含め、約50件の資料で構成します。