加守田章二(1933~83)は、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)卒業後の1950年代後半、栃木県益子で陶芸家として独立し、60年代にかけて作陶活動を展開しました。この時期に灰釉、飴釉、銀陶、炻器など多種多様に取り組み、後年の代表作を予見させる完成度の高い作品を手がけています。1970年頃からは益子に住居を残しながらも岩手県遠野を新たな制作の拠点とし、毎年のように作風を変えた新作を発表して当時の陶芸界に大きな衝撃を与えました。
本展では、1970年に発表され、加守田章二の名を不動のものにした代表作《曲線彫文》の赤色と黒色の作品を中心に、当館でこれまでに収集してきた加守田章二の作品を初めて一堂に展覧します。さらに、加守田と同世代であり、同時期に益子に入り活躍した瀬戸浩(1941~94)、廣崎裕哉(1933~2012)、小滝悦郎(1933~97)にも焦点を当て、個人コレクションを加えた総計約60点をご紹介します。
異才の陶芸家・加守田章二の魅力とともに、益子で開花した現代陶芸のエネルギーを感じていただければ幸いです。