高円宮妃久子殿下は、英国での大学時代に根付に出会われました。そして、高円宮憲仁親王殿下(1954~2002)とご一緒に、国内外の作家による優れた現代根付や古根付を蒐集されてきました。根付は印籠や煙草入れなどを着物の帯から下げるための留め具で、木彫や牙彫、蒔絵、彫金などの技巧が凝らされた小さな工芸品です。江戸から昭和初期までの「古根付」に対し、現代作家が伝統技術を継承しながら、新しい素材や題材を取り入れ制作したものを「現代根付」と称します。
妃殿下は、本来持ち運ばれた根付が飾り棚や箱に収められたままではかわいそうというお気持ちから、「旅する根付」として国内外の様々な場所へ連れ出し、殿下が生前愛用されていたカメラで撮影されています。
このたびの展覧会では、高円宮コレクションより現代根付と、根付の魅力を引き出し、新たな物語をつむぐ写真シリーズ「旅する根付」をご紹介します。