1960年代には、活動の拠点をNYに置いていたこの2人の作家は、それぞれに新しい絵画を模索してきました。ジャスパー・ジョーンズは、星条旗や標的、数字やアルファベットなどの日常の事物を造形言語としてモチーフにし、荒川修作は、言葉という記号と図形的要素を同一画面上に用いて、自身の思考モデルともいうべきダイアグラムのような絵画を制作しました。この二人の絵画の中に描かれている言葉や、象徴的な記号などは、概念的なアプローチによってメッセージを伝えようとするものです。ここでの絵画は〈見る〉という行為により、思考させることを喚起し、絵画を〈読む〉という行為へ連続させていく、二つの行為を同時に行わなければない作品といえるのではないでしょうか。制作当時とは大きく異なる社会環境の現在、私たちは彼らの作品から何を新たに感じ取り、何を新しく読み取ることができるのでしょう。本展では、セゾン現代美術館収蔵作品の中から両作家の作品約10点を展覧いたします。