原美術館が次代を担う若手の創作を紹介するプロジェクト「ハラドキュメンツ」。10回目となる今回は「佐藤雅晴―東京尾行」を開催いたします。佐藤雅晴は、実写映像をトレース(写し取る・なぞる)したアニメーションで独自の表現を追究している作家です。身近な人々や日常の風景・光景をビデオ撮りし、ペンツールソフトを用いて限りなく撮影したものに近付くよう膨大な時間と労力を費やして一筆一筆“描き”、アニメーションに仕上げています。
この一見無意味とも思える作業の果てに微かに現れる実写との差異が佐藤作品の醍醐味のひとつです。本展では、その手法を極めた『Calling』(2009-2010年)や、「トレースとは尾行である」という新たな発想の下、オリンピックに向けて変わり行く東京を描いた最新作『東京尾行』(2015-2016年)を展観します。尾行によって、佐藤には、そして我々には何が見えてくるのでしょうか。