「揚羽蝶」は岡山藩主池田家の家紋です。戦国時代に織田信長(1534~1582)の乳母をつとめた養徳院(1515~1608)の息子で、戦国武将として活躍した池田恒興(1536~1584)が、幼い頃に織田家から拝領したものと伝えられています。恒興の跡を継いで姫路藩主となった輝政(1565~1613)、その嫡男の利隆(1584~1616)、そして姫路・鳥取の両藩主を経て寛永9年(1632)に初代岡山藩主となる光政(1609~1682)が、隠居するまで使用していた横を向いた形状の揚羽蝶紋は「泊蝶紋」と呼ばれ、草創期の池田家のシンボルでした。池田家の歴代当主たちは、この揚羽蝶を身にまとい、いくたの戦場を駆け巡りました。
本展では、織田信長、羽柴(豊臣)秀吉、そして徳川家康の書状などから、後に岡山藩主となる池田家の礎を築いた池田恒興らの活躍と、彼らがあげた武功の数々に迫ります。また揚羽蝶の家紋が描かれた胴服・鞍、そして纏や吹流しなど、池田家を象徴する資料も展示します。あわせて、江戸時代に藩主自らが制作に関与した系図や肖像画などから、祖先の顕彰活動を紹介し、31万5千2百石を領有した岡山藩主池田家の草創期を振り返ります。