「ロボット」という言葉が最初に用いられた戯曲『R.U.R.』や日本では特に『ダーシェンカ』や『園芸家12ヶ月』の作者として知られるチェコの国民的作家カレル・チャペック(1890~1938)と、彼の書籍の装丁デザインを手掛け、キュビズムの画家として知られる兄ヨゼフ・チャペック(1887~1945)。ふたつの世界大戦に挟まれた1920年代から30年代にヨーロッパ文明の交差点として開花したチェコスロヴァキア文化を背景に、ふたりはそれぞれに優れた創作活動を行う一方で、生涯にわたって共同制作を続けました。この展覧会では、ヨゼフ・チャペックが装丁したカレルの書籍を始め、ヨゼフの油彩画、デッサン、版画、カレルの写真作品など約150点、さらに、同時代のチェコ・アヴァンギャルドのグループ「デヴィエトシル(9つの力)」で活躍したカレル・タイゲ、オタカル・ムルクヴィチカらの装丁作品など約100点を展示。20世紀初頭のチェコスロヴァキア芸術の本格的な紹介として重要な展覧会となるでしょう。
また、大正13年に築地小劇場において『人造人間』というタイトルで日本初演された戯曲『R.U.R.』の資料なども出品。日本におけるチェコ文化受容の一端も垣間見られることでしょう。