私たちはいつも、手でふれることの喜びを感じています。寒い季節がきてひっぱりだしたマフラーの温かい手ざわり、手のひらでふわりととける雪の冷たさ、台所で手にとる野菜や果物のみずみずしい重さ、子どもたちのほっぺのすべすべしたやわらかさ…、「いいなぁ」と思いませんか。
そんなふうに、彫刻にもふれてみてください。美術館は普通、作品を「目でみる」場所です。でも本展では、目だけではなく、手で作品をみてほしいと思います。素材によって変わるさわり心地、でっぱったり、ひっこんだりするかたちの起伏、ずっしりと重い感じなど、目でみるだけでは感じられない「いいなぁ」がきっとあることでしょう。
展示室で待っている一つ一つの作品を、どうぞ、じっくり、ゆっくり、さわってみてください。本展をとおして、手でものにふれる喜びをあらためて感じ、彫刻に親しみ、いつくしむ気持ちをもってもらえたらと願っています。