15世紀半ばより興った大航海時代、世界各地から様々な植物がヨーロッパに持ち帰られ、「植物の収集・鑑賞」がヨーロッパ文化に根付きました。その植物コレクション分類のための資料として、そして写真技術のなかった時代の稀少な植物の記録として、植物を描くことが絵画の一分野を形成しました。観察に基づく精密な描写に芸術性を加味した植物画はボタニカルアートと呼ばれ、現代に至るまで高い人気を誇っています。
ロンドン南西部にあるキュー王立植物園は、世界最高峰の植物研究施設であり、地球規模の植物保護に寄与する活動によりユネスコ世界遺産にも登録されています。
本展覧会ではキュー王立植物園の全面的な協力により、同園の所蔵する世界最大のボタニカル・アートコレクションより17世紀から現代までの貴重な植物画の数々、さらにウィリアム・モリスらの自然や植物をモチーフとした工芸品を含めた約150点をご紹介します。また合わせて自然の景観を生かし、様々な草花が美しいハーモニーを奏でるイングリッシュ・ガーデン(英国式庭園)に関する資料を展示します。イギリス人の数世紀にわたる植物への憧れと情熱の結晶である花々の競演をお楽しみください。